ひたすらつらいときのマヨゲン其の1
「つらい! と声に出してみる。」
耐え難い苦痛を感じている。どう対処したら良いのか分からない。苦しみに耐えられるかどうか先が分からない。
「おいおい、どうした。久しぶりだというのに、のっけから重すぎるじゃないかい。」
ああ、肉体絞り魔改造バスケ野郎のオカヤン、久しぶりだね。相変わらずの絞られた細マッチョで元気そうじゃないか。うらやましい。
「おいおい、本当に重症か。いつものジェントルマン仮面はどこへ行った。どこでもいつでもあくまでも余裕YO!YOU!のジェントルマン、ってえのがオマエの……まあ、基本仮面だろがよ。」
こんなに凹んでいる友人を前にしてジェントルマン仮面とか基本仮面とか、フツーに削ってくるヤツがいるんだな。日本代表の185cm右サイドバックか、キミは。相手が弱っていてもフツーに削るイヤなプロフェッショナルだ。
「バカ言ってんじゃないよ~。オマエと、俺は~♪」
やめろ! のっけから著作権が心配になるセンテンスをぶっこんでくるのはやめろ。ボクの気持ちが分からなくてもいい。茶化すのだけはやめてくれ。
「ふー。オマエはホントに悩みを抱えてばっかりだなあ。息苦しくないか。生きるのが大変そうだな。」
ただひたすらつらいときって、あるじゃないかよ。
「無えな。」
は?
「無えな、俺には。つらいときには必ず理由がある。俺にはな。」
は?
「つらいことが重なって、理由を見失うことはたまにあるかもしれん。」
へ?
「オマエはいま、ただひたすらつらいんだろう。だが理由がないわけじゃない。重なっているのかもしれない。見えづらくなっているのかもしれない。」
だ、だとして、たまたまオカヤンの言う通りだとして、ボクはいまどうすればいいんだよ。ただひたすらつらいとき、どうすればいいんだよ。
「叫べ。」
すけべ?
「思ったより余裕があるな、ジェントルマン仮面。」
すけべ?
「叫べ、だ。叫ぶんだ。優しく言うのは今だけだ。また間違えたら、物理的な修正処置を課す。分かったら、声に出してみろ。いいか、物理的な修正処置だ。あと1回しか言わないぞ。叫べ。」
す。。。叫べ。叫べ。何を?
「つらい! つらい! つらい! 俺はいま、つらい! と、叫ぶんだ。」
……それで何か解決するとでも?
「知らん。」
は?
「知らんが、つらいという気持ちをカラダのなかに置いとくより、吐き出したほうがマシだろう。どうせつらさを吐き出すなら大きな声で叫んでしまえば、ストレス解消にもなるじゃねえかよ。」
あー、オカヤン君。キミはそれを本気で話しているのだろうね?
「至って本気だ。大きな声で叫ぶのがオマエにとっての現時点での最適解だと確信している。」
あー、オカヤン君。ほんとに本気かね?
「下を向くな。うつむくな。前を見ろ。オマエの未来は明るいぞ。」
未来より今だ。ボクはいまこの瞬間のつらさに叩きのめされそうなのに。
「自分の未来は自分次第だ。生きている限り未来はある。ひとりひとりの未来はいつも可能性に満ちていて、明るいぞ。人類の未来は知らんけど。」
人類の未来は知らんけど?
「ひとりひとりの未来は明るいぞ。だから、今日は叫べばいい。そしてカラダのなかからつらさを吐き出してしまえ。」
つらい! つらい! つらい!
「そうだ。その調子だ。」
つらい! つらい! つらい!
「そうだ。その調子だ。」
つらい! つらい! つらい!
「まだあるのか。」
つらい! つらい! つらい!
「ま、まだあるのか。」
つらい! つらい! つらい!
「が、頑張れ。応援しているぞ。」
つらい! つらい! つらい!
「こうなったら吐き出せ。全部。」
ゲホゲホッ、ぐは!
「おっしゃ、体内つらさゼロパーセントだな。」
んなわけない。一旦やめさせてもらいます。(余裕がなくてもオズワルド好き)
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