謝りたいときのマヨゲン其の2
「ごめんなさいと”今”言う」
しまった。
口が滑った。言わなくてもいいと思ったのに、声を止めなかった。言葉を止めなかった。このくらいは大丈夫だと思い直してしまって、言葉を止めなかった。
そして、”このくらい”は大丈夫じゃなかった。
あなたが知っているようにボクも知っている。
過去には戻れない。
謝りそびれた今日は二度と訪れない。誤りそびれた今日が昨日となれば、明日には謝りそびれた昨日を抱えて生きていくだけだ。
謝りそびれた昨日が二日前になり三日前になれば薄れていく記憶が、ある日突然ボクの目の前に帰ってきて「ただいま。キミが謝りそびれた記憶だよ。忘れちゃいないだろうね。」とボクに告げる。
責めるならもっと厳しく責めてくれればいいのに、決してそんなことはなく、耐えきれなくなる直前くらいの痛みを、泣きださないくらいの痛みをさらりと切りつけて残して。
もう知っている。
そんな痛みを幾つも抱えている。
だから、謝るのなら今すぐに。
今すぐにごめんなさい。
本当は傷つけないほうがいいのだけれど。
もちろん傷つけないように気遣っているつもりだけれど。
万が一傷つけてしまったときにはすぐにごめんなさい。
ごめんなさい。
ごめんなさい。
なるべく早く。
できれば今すぐに。
ごめんなさい。
たとえ許されてもこころは軽くならないけれど、
相手の気持ちが少しでも軽くなってほしい。
せめて。
せめて。
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