やっぱりここから、・定番のマヨゲン其の3
「遠回りでも近道」
理想の自分がいる。
違う。
理想の姿の自分に未だなれない自分がいるから“理想”があるんだ、などと屁理屈をのたまう自分がいる。正確には、そういう表現に近い。未だ、の部分に変なプライドを感じさせてしまう自分がまたイヤだ。
こんなことをやっていて、自分の望む未来にたどり着けるのか分からない。不安だ。そもそもこの道はゴールに続いているのか。こんなギャンブルみたいな生き方でいいのか。こんな人生を賭けたギャンブルでいいのか。と思わざるを得ない。
そりゃ自分の人生だから自由は自由さ。
行きたい生きたい方向に進めばいい。
でも、その方向がちゃんとしたゴールなのかどうか、分からないときはどうすればいい。
「遠回りでも近道。」
言っていることは分かる。
でも、遠回りか近道か、ゴールにたどり着かないと分からないことだろ。たどり着けなかったら、道が全部ムダだったってことになる。そもそも自分の歩いている道がゴールにつながっているかどうかを知りたいんだよ。誰か教えてほしい。教えてほしいよ、この道はボクのゴールにつながっているのか。
「遠回りでも近道。もちろん、何が遠回りか近道か、現時点では分かりません。っていうか、ひとつの道のたどり着く先が分かっていたら、誰だって先が分からない道を選びたくなると思いますが。」
あ、あなたは……ガンダム系知能派筋肉健康オタクのミヤタカさんじゃないですか。ボクの親友ミヤゾーくんとは親戚ですか?
「そもそもミヤゾーくんって、どなたですか。というか、ガンダム系知能派筋肉健康オタクって、どういうことですか。」
あ。そこは気にせず。ミヤゾーくんと関係がないことも把握しました。というより、ただの文字数稼ぎでした。
「そんなことをやっていると、いつの間にか記事の4割くらいがルーティンテキストになって、読者に見切られてしまいますよ。」
え、ええ、ええ、ええ、そうですとも。そんなことはしません。ボクはそんなこと目的ではない。自分が生きるのに必死ですから。ところで、先が分かるとか分からないとか。
「別に引っ込んでもいいんですけど。」
いい、いやいやいや、教えてください。ボクは自分の道がこれでいいのか悩んでいるんです。本当にゴールにたどり着けますか?
「ああ、わたしに伍するくらいの人かと思っていましたら、案外俗物なんですね。そんなことに興味があるとは。」
いえ、こういう不安は憑りつかれたら止めどなくなってしまって。わたしはこれでいいんでしょうか。
「ゴールはありますよ。死です。」
え? やっぱりそこがボクの未来?
「いやはや。そうとう参っていますか? 死は誰にとっても終着点です。今のところ、永遠に生きられる人はいない。遅かれ早かれみんな死ぬ。」
みんないずれは死ぬ。それは分かっています。
「いやはや、相当参っていますね。だから、死は終着点、ゴールです。その向こう側は少なくとも私にもあなたにも手が出せないところです。」
いや、そうじゃない。ボクの言うゴールは、生きている間の、よりよい生活です。具体的に言えば、成功者と呼ばれる存在になること。
「ああ、もちろんそうでしょうね、話しているのは。」
ボクの道はゴールにつながっているのか。成功者というゴールです。
「じゃあ、繰り返しますよ?」
はい?
「遠回りでも近道。でも、何が遠回りか近道か、現時点では分かりません。っていうか、ひとつの道のたどり着く先が分かっていたら、誰だって先が分からない道を選びたくなると思いますが。」
いや、だから。
「あなたは、この道で成功者というゴールにたどり着けると分かっていないと、努力できないのでしょうか?」
なんですって?
「成功が約束されていないと努力しないのか? と聞いているのです。成功するかどうか分からないから努力するのでしょう?」
いや、この努力が無駄にならないか無駄になってしまったらどうしようか、アタマを過ぎるのはそんなことばかりなんです。
「有名な話ですけどね。もちろんあなたも知っています。」
はい。
「努力すれば成功するとは限らない、だが、成功した人は須らく努力している。」
有名な言葉ですね。
「そうです。成功するために努力する。成功したいから努力する。成功できるかどうか分からないから努力する。できるだけ成功に真っ直ぐに進めるように、あれこれと試行錯誤する。そして、時間が経ってみたら、あ、あそこは遠回りだったな、あのときは遠回りだと思ったけど近道だったな、と、そういうことが俯瞰できる。振り返ることができる。」
う、うん、それは確かにそうです。でもそれはゴールにたどり着けたときだけです。
「三國志における曹操の青州攻めの例えを知っていると思いますが。」
ぐ、ぐう。WEBサイトのトップに書いているとは言えない。
「(聞こえていますけど)官渡の戦いの荀彧の話も。」
ぐはっ!それも書いてあるとは言えない。
「(それも聞こえましたが)いやはや相当参っていますか。」
ぬぬう。
「何かを目指して動いているところは青州攻めと同じ。望む結果はあるけれど、そこにたどり着けるか分からないのも官渡の戦いと同じ。違うのは、手法はいくらでも選べるということです。」
その手法が正しいかどうか、分からない。だからこれでいいのかと迷っている。
「それもまた、遠回りでも近道。じゃないですか。」
やってみないと分からないことは、やってみる。ということですか。
「そうです。一番ダメなことだけは分かりきっています。」
何もやらないのは一番ダメ、ということですね。
「はい、おっしゃる通り。もうひとつ、これもダメですというものが。」
人を傷つけるやり方はダメ、という理解で良いですか。
「そうです。迷うのは仕方ありませんが、それでもやることはやる、です。」
はい、ありがとうございます。少し心に厚みが出た気がします。
「たとえ思い描いた結果とは違っていたとしても、必ず得るものはある。努力は人を幸せにする。だそうです。」
え? だそうです? ちょっと。
「あ、あ、あ、いや、大丈夫です。誰かの伝記とか読んでいません。ガンプラを作っていて思わずクチから出た言葉です。完成に近づいたら、思わず違うカタチにしてしまいたくなるんだよね。先が分かると、違うカタチを見てみたくなるでしょ。」
やかましいわ。一旦やめさせてもらいます。
それでも、今日を始めよう。
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