人生に迷ったときのマヨゲン其の4

「迷ったら、厳しいコースを選んでみる。」

 今朝というか今日の夜明け前、大きな物音がして目が覚めた。ベッドの近くにある木製の丸椅子が床に転がっていた。足先にじんじんとした感覚があった。

ああ、また蹴ったんだな。と、眠いながらもたぶん苦笑いした。

 ボクはサッカーをプレイする夢をよく見る。そして、その夢を視ているときはよく足が動く。昔は身体が動かなくて(金縛りとよく似たアレ)ふごふご苦しむ夢だったけど、いまはアクセル全開で息切れしそうになりながら、キレッキレのドリブルとか、世界基準のパス(高精度で速い)を出していたりして、今日もいいシュートを打っていた。

 不思議なことに過去のプレイを思い出すのではなく、昔のチームメイトと大人になった今の感じでプレイしていたりする。大空翼が小中高で出会ったメンバーと世界で活躍しているようなイメージかもしれない(オオゲサ)。もっとも、ボクの夢のなかでは、ただひたすらサッカーをプレイしているだけだ。

 あまり知っている人は多くないけれど、ボクは左利きを矯正された右利きというか両利きで、だいたいのことは左右両方で出来る。サッカーでは右でも左でも真ん中でもやれるけどディフェンスは下手くそで、夢のなかでさえディフェンスでは抜かれまくるザルD、その後味方がボールを回収してくれてから攻撃の場面、という感じだ。

 どちらかと言われなくてもパスを受けるタイプのプレイヤーだと自覚している。リアルのプレイでは球離れは早いほうだが、夢のなかではドリブルを選択することが多い。たぶんこれは願望。テクニック(ないけど)で勝負したい、サッカー選手としての願望。

 分かっている。ドリブルはチャレンジする気持ち次第。そして取られても再チャレンジする気持ちの強さ次第。それを試合でもやり続ける強さ。

 ドリブル。たぶんリアルでは達したことのない高レベルなキレッキレの動きでドリブルをする。

 本当に不思議なのだが、ボクは夢のなかでドリブルのコースに迷ったら、必ず厳しい(相手選手に止められる可能性が高い)コースを選んでいる。持っているボールのパスコースに迷ったら、ほぼ100%厳しい(相手にカットされる可能性が高い)コースを選んでいる。振り返ってみれば我ながらアホなのか?と思うくらいに、厳しいコースを選んでいる。だが、そんなときはその勝負に勝っている。

 夢のなかとは言え、ご都合主義すぎるんじゃないか。

 と、思わないでもないけど、夢だからいいじゃないか。と思いなおす。

 夢のなかとは言え、厳しいコースを選択して勝負に勝っている自分は、いいな。

 ドリブルにしろ、パスにしろ、厳しいコースを選んで勝っている自分はいいな。

「また蹴ったわね。わたしじゃないから許すけど。」

ああ、ゴメン。今日は丸椅子ちゃんでした。


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