強くなりたいときのマヨゲン其の4
「吐き出せ、認めろ、そして怒れ。」
くじけるおれると書いて、挫折。ザセツ。ざせつ。捻挫。違うのが混ざっているけど。
挫折したときに、周りに誰もいないときほど、相談できないときほど、挫折の傷は大きくなってそして深くなっていく。見えない血が流れるように胸が裂けているかのよう。数えきれないほど自分など死んでしまえと罵る。
周りを見渡すと誰もいない。友達だと思っていた友達もそれほど親しくなかったのだと思い知ったとき、悲しみと言うのか諦めと言うのか、ああそうかそうだったかとつぶやきながら、ただどこまでも沈んでいく自分をどこかで分かっていて俯瞰しているかのように見つめるしかないときがある。
雪のように深深と降るマリンスノウとともに1万メートルの海溝を落ちるかのよう。
無言で巨躯を沈めゆく鯨の死骸のよう。
その魂はどこにあるのだろう。
もしかしたら、誰かは経験があるだろう。
きっと経験があるだろう。
聖書に書いてあるように自分以外の誰かもきっと経験しているのだろう。
だからどうしたと思いながら沈んでいく。
誰が悪いと言いたくない。
出来事には理由がある。過程もある。思惑もある。
許せないなら許せないと言え。
苦しいなら苦しいと言え。
みっともなく叫びたくなる思いを、吐き出せ。ぐしゃぐしゃになっていい。グズグズになっていい。みっともなくていい。思いを吐き出せ。
みっともない思いを吐き出すみっともない自分を認めろ。
みっともない自分がみっともない思いを吐き出していることを認めろ。泣かないくせに泣きたい身体を認めろ。泣きたくなるたびに視線も心も冷たく抑え込んでいる自分を認めろ。
自分を見つめろ。真っ直ぐに見つめろ。
この先一生残るトラウマになるとしても、そこから目を逸らすな。
自分のなかにある何かから目を逸らすな。
出来事は消えない。事実は消えない。消せないものから目を背けても消えてはいかない。そこになるそれを認めろ。真っ直ぐに見つめろ。
そして。
そして。
怒れ。
怒れ。
誰かにではなく。
自分にではなく。
ただ怒れ。
血が流れるくらいに掻きむしりたい胸を触るな。
折れそうになるくらい歯を噛みしめたりするな。
ただ怒れ。
無言で。
前を見て。
怒れ。
身体中を怒りで満たして。
今日は立て。
明日を生きろ。
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