優しくなりたいときのマヨゲン其の3
「誰もがそんなに偉くはない。」
おっと。これはボクの好きな言葉だ。
誰の言葉なのかは知らないけれど、いつの間にかボクのなかに住みついていた言葉。誰もがそんなに偉くはない。いいな。偉ぶっている人たちに聞いてもらいたいな。
「ふふふ。相変わらずだね、やっぱりあなたは。」
おっと優しくなりたいで2連続の登場は昭和型高機能性働く女性こと突撃シゲマルさん。そんなに優しくなりたいのかい。
だいたい、昭和型って言われて、怒らないのが突撃シゲマルさんらしくない。ボクの知っているシゲマルさんだったらプチッと音が聞こえるくらいお怒りに……。
「わたしだってオトナになるのよ。いつまでも短気ではないし、いつまでも関西弁でツッコミを入れるだけのわたしじゃなくてよ。」
なくてよ、と言われてもね。そんなお嬢様だったっけ。確かご出身は・・・・・・。
「あれ? 突いたり切ったり自由自在のサーブルが得意なのよという話はしたつもりだったけど、憶えていないの? 復習が必要なのかしら・・・・・・?」
ちょっと! 後ろにある大きめのバッグをゴソゴソしないでよ。まるでサーブル持っていますよみたいな感じでさ。
「クルマのクラクションを鳴らすのは、結構ガマンできるほうだよね。」
何にもガマンしていないよ。鳴らしたくなってないんだから。
「ふふふ。そうよね。急に割り込まれたり、信号が青になっても前のクルマが動かなかったりしても、ほとんどクラクションを鳴らさなかったよね。」
よっぽど危ない!というタイミング以外は鳴らす気にならないから。
「なんで?」
え? だって、クラクションを鳴らしても解決しないでしょ。そりゃあ自分だけは少しはスッキリするかもしれないけどさ。」
「わたしも大人になったけど、絶対に許せない!ってことは結構あるわ。未だに。もう前のクルマが進まないときなんて、本当は100回くらい鳴らしてあげたいけど、大人だからほんの少しだけ軽く「プ」くらいしか鳴らさない。本当は100回くらい鳴らして差し上げたいのよ。」
柔らかな表情をしたお嬢様の恐るべき内心ですね。でも軽く「プ」だけなんだ。
「わたしも教わったから。誰もがそんなに偉くはない。って。」
あ。ボクも好きな言葉です。誰の言葉だっけ。
「誰もが、誰をも許せないと言えるほど、偉くはない。完璧な人間なんて、どこにもいない。完璧な人間が存在するなら神様なんて要らないわけで、完璧な人間なんていないから、神様の存在が必要なんだよ。人間は誰しも平等で、誰かが誰かを断罪していいわけがない。それが許されないから法律があり、警察があり、裁判所があるんだよ。そりゃあ人に迷惑をかけたり罪を犯す人間がいたりするよ。でも、普通に生きていたら誰かを許せないと言い切れるほど、誰も偉くはないんだよ。って、あなたが話していたわ。わたしには。」
え?
「あなたが話してくれたわ、わたしには。あの頃に。」
どの頃に?
「あの頃よ。わたしがサーブルをひゅんひゅん鳴らしていた頃。」
(*´Д`*)!!
「絶対に許せない! ということは、もちろん起こりうるだろう。でも、自分だってそう思われているかもしれないし、人に迷惑をかけているかもしれないし、誰かにお世話になっていることだってたくさんあったから。と、あなたは言っていたわよ。わたしの記憶のなかでは。」
ちょっと記憶を美化しすぎじゃない(*´Д`*)。
「そうかもね。でも、教えてくれてありがとう。って、いまも感謝しているわ。」
さあ、今日を生きてみよう。
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