勇気がほしいときのマヨゲン其の4

「かっこ悪くてもいいんだヨ。惚れたときはヨ、愚直に行け。」

ボクには好きな人がいる。誰だって誰かを好きになっていい。その気持ちは誰にも文句を言う権利はない。ドコカノカミみたいな面倒くせえ人たちがドコカにはいっぱいいるけどさ、胸のなかで思い続けるのは自由だ。

 だいたい、いちいち人の文句言っていられるほどヒマなのか? ヒマでヒマで仕方ないから他人の言動を取り締まるのか? あ、いやいや、これ以上グチが過ぎるとボクもムジナになってしまう。

 好きな人がいるんだ。ほんと、今すぐにでも告白したいくらいだ。だいたいボクにはどんなに頑張ってもツンデレのツンは演じられない。最初からデレるのも違うと思うし恥ずかしいから、選んだ方法はあの人に近づかないこと。

 SNSで見つけてもつながらない。結局見つけてもらったけど、何も動かない。DMもしない。だってデレてしまう確率100%なんだ。自分で分かるんだ。ただ話すだけなのにでれてしまったらかっこ悪いじゃないか。ちくしょう。

「かっこ悪くてもいいんだヨ。惚れたときはヨ、愚直に行け。」

愚直の読みは「ぐちょく」だYO! って、誰だよ。どこにいる!

「ここだヨーヨー。犬の散歩だYO!」

いや、文字にするとラップ的なYO!YO!なのか、世界的オモチャのヨーヨーなのか分からんので、犬の散歩とか古典的なアレもやめてほしいですが、センター懲り懲りさらさら髪イノチ女子のリリリンちゃんじゃないですか。

「そうだYO! リリリンだYO!」

いや、変なキャラ付けはやめてくれないかな。書き続けるの大変だから。
その場のノリで変なキャラを演じると、次回登場で振り返らないといけないので大変なんだYO!

「え。どっちですか。YO! なほうがいい感じじゃないですか。」

いや、いきなり素に戻るトラップとか勘弁してよ。ボクだけ恥ずかしい思いをさせてさ。

「わたしはアレですよ。もう、何も考えずに行動します。好きな人には。」

あー、あれですか。この間の姐御も言っていた、やると決めてから散々後悔するけどやり通すみたいな?

「あ、違います。ダイレクトアタックです。もう直接的に一直線に真っ直ぐアプローチします。電話もかけます。DMも送ります。近くにいそうな場所まで行ったりもします。」

待ち伏せ!? そ、それは大胆ダネ。相手の人も、出くわすシチュエーションによってはドン引きするんじゃ・・・・・・?

「いえ、そんなことないですよ。近くでご飯を食べていたんです、偶然ですね。って、声をかけます。向こうも、ああそうなんだ、偶然だね。って、返事してくれますよ(平然)。」

あ、ああ、そう、ボクもそうじゃないかなと思ったよ。偶然だね。

「そんなドン引きみたいなポーズはやめてくださいよ。わたしが来て、嬉しいでしょ? あれ? そんなことないですか?」

ええ? ターゲットはボクなの? ボクを狙っているの? ダメダメダメ、ボクには好きな人がいるんだ。そう言っただろ。というか聞いていただろ。
いくらキミが超カワイイと有名なセンター懲り懲りさらさら髪イノチのリリリンちゃんでも、ボクには好きな人はいるんだ。

「・・・・・・よし、その調子です。言えるじゃないですか、ちゃんと。」

ななな、なにを言っているんだ? キミが好きだと言ったわけじゃない。好きな人がいると言ったんだ。キミじゃない。

「はい、分かっています。周りにバレバレですよ。後ろにいますよ、いま。」

・・・・・・・・・・・・チーン。ツンダ。ジンセイ、シュウリョウ・・・・・・。

「冗談ですけどね。」

・・・・・・・・・・・・コロ・・・・・・ス。

「かっこ悪くてもいいんだヨ、惚れたときはヨ、愚直に行け。まっすぐ来られるほうが嬉しいんですよ、女の子は。リリリンが言うから間違いないです。」

お、え、そうなんだ。分かった。愚直に言ってみる。

「そうです。人生は当たって砕けろ! ですYO!

砕けたくはない。一旦やめさせてもらうわ(オズワルドさん以下略)。


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