人間不信のときのマヨゲン其の1
「それでもいいんだよ。次は失敗しないよ」
ボクに落ち度があったとしても、ボクに悪いところがあったとしても、ボクにもそれなりの理由があったとしても、それでも裏切ったヤツのほうが悪い。と、思う。
「ブルータス、お前もか。」と言ったのはローマ帝国のカエサル。「人間五十年」と言ったのは明智光秀に裏切られた織田信長。
流れてくるのは裏切り者のレクイエム、とか、見ていないわけなんだけどね。ダメじゃん。
珍しく凹んでいるのは肉体絞り魔改造バスケ野郎のオカやんです。おいおい、オカやんが人間不信なのかい。それあボクの役目なのではないかい。
「うっせえわ」
それはAdoさんの台詞じゃないのかい。
「うっせえうっせえうっせえわ」
お、凹んでいるわりには調子に乗ってみたねえ。声をかけてもらって嬉しいんだ。
「はー――――あ、」
そろそろやめとき。著作権とかいろいろ面倒だし、ボクらも著作権のお世話になっている人間だからさ。
それに、人間不信になっているのはボクのほうだよ。
飼い犬に手をかまれるくらいならまだマシなほうだ。あいや、何が起きたかは言いたくないよ。でも、人間不信になるようなことだ。ここ何年かの苦労を返してくれよと言いたいね。
ハッキリ言うよ。
この数年間の苦労を返してくれよ。
ボクのガマンを返してくれよ。
ボクの手間を返してくれよ。
ボクの時間を返してくれよ。
こんなバカな結果のために苦労もガマンも手間も時間もかけたわけじゃないんだ。
全部全部、ぜーんぶゼンブ、全部返してくれよ、裏切り者!!
この裏切り者!!
裏切り者ォ!!!!!!
あれ? オカやん、どうした。元気になったの?
「おう。オマエがあまりにも酷い状態だからな。俺がブレーキをかけてやらないとな」
なんだよブレーキって。
「オマエがどこかに行ってしまわないようにだな、適当なところでブレーキが必要なんだよ。暴走し始めたら止めるブレーキがよ」
大丈夫だよ。ボクは暴走しない。暴走しないためにいま吐き出しているんだ。
「いや、いまのオマエはこれまでで最大級に危ない。いろいろあるんだな、オマエにも」
そういうオカやんはどうなんだよ。さっきまで「うっせえわ」とか言っていた割には元気そうじゃんか。
「おう、俺にはアレだよ。相棒がいるからな。一生一緒にいてくれや♪的な相棒がよ。だから一瞬は凹むかもしれんが、すぐに立ち直れるんだよ」
そのさあ、歌からパクるクセはやめたほうがいいよ。
「うっせえわ」
いや、ほら、それも。
「おい、人間不信野郎。長年テマヒマかけて作ってきたものをポイと捨てたくせに、不幸そうな顔して裏切られたとか言ってんじゃねえ」
簡単にポイと捨てたとか言うなよ! 捨てたくて捨てたわけじゃないぞ。このままだと気が狂って死んでしまうか大事件を起こしそうだから、捨てたんだ!
「おう。さすがだな。ポイと捨てるなんざあ、さすがだ」
オカやん。変なキャラが入っているね。誰それ?
「うっせえわ、べらぼうめ!」
なにそれ。下町ふうなの。よく分からないな。
「いいんだよ。それで」
何がだよ。
「裏切られたっていい。ポイと捨てたっていい。次は失敗しないと思えればそれでいいんだよ。」
何だよ、突然。泣きそうになるじゃないか。
「いいんだよ、それで」
ちっくしょー――――!ちっくしょー------!
「それでもいいんだよ。次は失敗しないよ」
人間不信になっても、次は失敗しないと思えればいいよ。それだけでいいよ。
次に進もうよ。
次は失敗しないよ。
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